猫に水分補給させるには?猫が水を飲まない理由、飲ませる方法を紹介
必要な飲水量
猫を飼っていて、なかなか水を飲んでくれないなんてことはありませんか?
効率的に猫に水分を補給させる方法についての説明をする前に、まずは猫にはどれくらいの水分摂取が必要なのか確認しておきましょう。
猫に必要な水の量
猫に必要水分量は、猫の体重から算出できます。
猫の体重1kgあたりに必要な水分量は、60~70mlです。
例として、体重が4kgの猫の場合は240~280ml、5kgの猫で300~350mlの水が必要という計算になります。
代謝水を差し引いて計算する
猫は「代謝水」と呼ばれる水を体内で作り出すことができます。
代謝水は、脂質や炭水化物、タンパク質などの栄養素をエネルギーに分解する際に作られます。
猫の体内で作られる代謝水は、1日に必要な水分量の10%程度です。
つまり、4kgの猫なら必要な水分量の240~280mlから、代謝水の分である24~28mlを差し引いた216~252mlの水を摂取する必要があるのです。
キャットフードに含まれる水分量
1日に必要な水分は、飲水だけでなく食事からも摂取できます。
食事から摂取できる水分量は、ドライフードとウェットフードのどちらを選ぶかで大きく変わっています。
それはドライフードとウェットフードフードでは水分の含有量が異なるからです。
1gあたりに含まれる水分で比較すると、ウェットフードが75%程度の水分を含んでいるのに対し、ドライフードはたったの10%程度しか水分を含んでいません。
つまり、ドライフードを主食として与えている猫には、ウェットフードを与えている猫より、積極的に飲水量を増やす必要があるのです。
飲水量をチェックして病気の早期発見・予防
摂取する水の量が少ない猫は、慢性腎臓病や膀胱炎、尿路結石などの泌尿器系疾患にかかりやすくなります。
反対に、水分を取りすぎている猫も、慢性腎臓病や糖尿病にかかっている可能性があります。
したがって、猫の飲水量をチェックすることは、猫の病気の早期発見につながるのです。
▼猫の尿路結石についての記事はこちら!
猫が水飲まない理由
猫が水をあまり飲んでくれず、不安に感じることもあると思います。
猫が水を飲まないのは、猫の祖先の体質に由来しています。
猫の祖先は砂漠に生息していた
猫の祖先は、砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコです。
その生息地ゆえに、何日も水分補給ができなくても生きていける体の仕組みを持っていました。
具体的には、尿の濃度を高め、体内の水分を効率的に活用できるようになっていたのです。
このような体の仕組みを持つリビアヤマネコを祖先とする猫も、飲水量が少なくても十分生きられるため、喉の乾きを感じにくいと考えられています。
腎臓に負担をかけてしまう
少ない飲水量でも暮らしていける猫は、水分をろ過する機能に優れた腎臓を持っています。
しかしそれと同時に、猫は腎臓を酷使しやすく、日々の生活のなかで腎臓に負担をかけてしまいがちです。
腎臓に負担をかけ続けた結果、老猫の体を襲うのが腎不全(慢性腎臓病)です。
腎不全になると
腎不全が起きると脱水や尿毒症のリスクが高まるため、水分の摂取量を増やし、これらの症状を回避しなくてはなりません。
場合によっては、スポイトなどを使って水を飲ませることもあります。
しかし、腎臓の機能は一度失われると元には戻りません。
病気から猫を守るのは飼い主
腎不全から猫を守れるかは、どれだけ腎臓に負担をかけずに生活できるかにかかっています。
腎臓への負担を軽くするには、十分な量の水分摂取が不可欠です。
また、前述しましたが水分量が足りないと、腎不全だけでなく尿路結石や脱水症状など、様々な病気のリスクが高まります。
もし、愛猫が飲水に積極的でないなら、できるだけ早めに飲水を促す工夫を始めると良いでしょう。
水飲み場の工夫
猫が一日に必要な飲水量の目安に達していない場合は、飲まない理由があるかもしれません。
その場合、なにか工夫をしてあげる必要があります。
ここからは猫に水を飲んでもらうための工夫について紹介していきます。
水飲み場を増やす
猫に効率よく水を飲んでもらうには、まず水飲み場の数を増やすと良いでしょう。
猫の目に付きやすい、下記のようなところに水飲み場を増設してみましょう。
- 猫がよく通っている場所
- くつろいでいる場所
- ごはんを与える場所の近く など
始めは猫も、突然増えた水飲み場に戸惑うかもしれません。
しかし、いずれは新しい水飲み場にも慣れ、そのうちのいくつかを活用してくれるでしょう。
避けるべき場所
水飲み場を増設するときは、猫用のトイレの近くは避けましょう。
猫は清潔を好む生き物なので、トイレの近くに水飲み場を作っても、飲んでくれる可能性は低いからです。
また、人がよく通る場所も猫が落ち着いて水を飲めないため、水飲み場としては適していません。
飲んでもらう水
猫に水を飲んでもらう工夫として、次に考えたいのが水や容器の質です。
水や容器が気に食わないという理由で、猫が飲水に消極的になっていることもあるからです。
まず、水は下記の中からいくつかを選ぶと良いでしょう。
- 水道水
- 湯冷ましの水
- 軟水のミネラルウォーター など
基本的に水道水で問題はありません。
猫が水道水を飲んでくれない場合、浄水器の水や猫用のミネラルウォーターを与えるのも良いかもしれません。
硬水ではないことを確認する
硬水はミネラル分が多く、尿路結石の原因となってしまうので避けましょう。
自分で購入した水を飲ませる場合、必ずミネラル量を確認しましょう。
水を入れる容器
猫の好みはさまざまで、わざわざ洗面台やシンクに上がり、蛇口から流れる水を飲みたがる猫もいます。
容器はプラスチック製、ステンレス製、陶器など様々な材質があるので、愛猫に合うものが見つかるまで試してみてください。
容器の高さ
容器の高さは猫の胸の高さ程度のものが良いでしょう。
容器の高さがあまり低すぎると、猫の頭の位置が低くなり屈んで飲むことになります。
屈んで飲むと、誤って気管に入ってしまう可能性が高くなります。
容器を置くための台を設置してあげるのも効果的です。
猫が水をこぼす
水をよくこぼす猫には、ひっくり返りにくい給水器で水を飲ませると良いでしょう。
給水器は、ちょろちょろと水が流れるものもあるため、蛇口から直接水を飲みたがる猫にもおすすめです。
猫にミルクをあげていいの?
猫がなかなか水を飲んでくれないと、「ミルクなら飲んでくれるのでは?」と考える人もいるでしょう。
では、猫にミルクはあげても良いものなのでしょうか?
ミルクで栄養・水分を補える
ミルクは水では補給できない栄養素が取れる食品です。
そのため、離乳食を与えられない子猫や、フードを食べるのが難しくなった老猫の栄養補給に適しています。
もちろん、水を積極的に飲んでくれない猫の水分不足を補うためにも活用できます。
しかし一方で、猫にミルクを与える行為には、猫がおなかを壊したり、肥満になったりするリスクがあることも考慮しなくてはなりません。
人間用のミルクは与えてはいけない
猫がミルクでおなかを壊すのは、与えるミルクの種類を間違えていることが原因です。
猫には、人間用のミルク(牛乳)は飲ませてはいけないと言われています。
おなかを壊す理由
牛乳は「乳糖」と呼ばれる成分を豊富に含んでいるのが特徴です。
多くの猫はこの乳糖を体内で分解できないため、下痢を起こしてしまうのです。
また、牛乳には脂質が豊富に含まれているため、たとえおなかを壊さなかったとしても、肥満になるリスクが高まります。
どうしても与えたい場合
どうしても猫に牛乳を与えたいときは、低脂肪や無脂肪の牛乳、スキムミルクの方が良いでしょう。
これらは一般的な牛乳とくらべて脂肪分が少ないので、牛乳を与えることによる肥満のリスクを減らせます。
また、牛乳を原液ではなく水で薄めるのも、下痢になったり肥満になったりするリスクを軽減できます。
猫用ミルクが一番安全
前述したような工夫をしても、下痢や肥満のリスクをゼロにはできません。
猫にミルクを与える際は、猫用ミルクを選ぶようにしましょう。
犬用なら良い?
「人間用がダメなら犬用はどうなの?」と疑問を抱く方もいるかもしれません。
牛乳を与えるよりは良いかもしれませんが、猫に犬用ミルクを与えるのも避けたほうが良いでしょう。
雑食の犬と肉食の猫では、必要な栄養が違うため、猫用ミルクと犬用ミルクでは成分が異なるからです。
ゼリーで猫の水分補給
どうしても水分を取ってくれない猫には、猫用の水分補給ゼリーを与えると、効率的に水分の摂取量を増やせます。
猫用の水分補給ゼリーとは
猫用の水分補給ゼリーとは、猫の食欲を刺激する香りや風味が付いたゼリー状のフードです。
ウェットフードのようにパウチに入っているものから、人間用のゼリー飲料のような形状のものまで、さまざまな種類が販売されています。
なかには、自宅で手作りできる猫用ゼリーの素も販売されています。
おやつ感覚で水分補給
猫用の水分補給ゼリーのメリットは、おやつ感覚で水分補給ができることです。
水飲み場の数を増やしたり、水を入れる容器を別のものに変えたりしても、思ったように水を飲んでくれない猫もいます。
そんな猫でも、美味しそうな香りがする猫用ゼリーなら、喜んで口にしてくれるでしょう。
高齢の猫にも最適
高齢や病気を理由に一般的な猫よりも水分が必要になった猫にも、猫用の水分補給ゼリーは適しています。
猫はもともと、積極的に水を飲む生き物ではありません。
加えて高齢や病気を患えば、水を飲む行為さえ億劫になり、さらに飲水の回数や量が減ってしまうことがあります。
猫用ゼリーなら、おやつのように楽しみながら水分補給できるのです。
もちろん、おやつとしてではなく、普段のフードに猫用ゼリーを混ぜて与えることも可能です。
猫用の水分補給ゼリーを混ぜたフードを与えれば、毎日の食事のなかで効率的に水分の摂取量を増やせるでしょう。
▼高齢猫の特徴についてはこちら!